Care of Japanese basketry

  • 日本の籠を購入いただきまして、日々愛用いただきまして感謝いたします。

     

    籠の取り扱い方を、わたしたちの経験も踏まえて説明させていただきます。

     

    細かな記述もありますが、籠の取り扱いは、さほど難しいものではありません。そして、籠が壊れたり、黴が生えた時は、その時に考えれば良いことですので、まずは、籠と今の時間を楽しんでいただくことが一番大切かと思います。

     

    籠は、大らかに接してあげてください。

     

    日本の籠と共に、素敵な日々を過ごしていただければ幸いです。

     

     

    手提げ籠の持ち手について

     

    熟練の職人により、しっかり取り付けられた籠の持ち手ですが、氣をつけていただきたいことがあります。

    持ち手の片方だけを持ち上げると、持ち手の付け根が折れることがあります。特に中に荷物を入れていると重みで折れやすくなります。籠の持ち手は、必ず両方揃えて持ち上げるようにしてください。

    また、持ち手の付け根が、籠の本体に固定されてものと、動くもの(リング付け)があります。固定された持ち手の場合、持ち手を外に大きく広げたり、急速に動かすと付け根が折れる場合がありますので、荷物を出し入れする時は、持ち手はやさしく広げるようにしてください。

     

     

    黴(かび)について

     

    自然素材の籠は、梅雨時期や湿気の多い場所では、黴が生えやすくなります。過去に、300点ほどの様々な素材の籠のコレクションに、黴が生えた経験をもとにした黴の対応方法を記します。ちなみに、300点の黴を経験すると、黴に動じることはなくなりました。もちろん、その籠たちは、今でも我が家の大切な一員です。

     

    しばらく籠を使用しない場合は、密封して保管することをお勧めします。乾燥した紙(新聞紙や包装紙)で籠を包み、乾燥剤や防虫剤(特に竹籠)を入れて、ビニール袋で密封します。ただし、乾燥してみえる籠も、必ず素材自体に水分を含んでいます。長い間、密封しておくと、籠自体の水分によって、黴が生えることもありますので、定期的に開梱して、包み紙を交換したり、乾燥剤や防虫剤を入れ替えることをお勧めします。包み紙は、素材の内側(竹は身、樹皮籠は裏)にもあてておくと、水分を紙が吸ってくれます。

     

    自然素材の道具には黴は付きものですので、黴が生えても慌てる必要はありません。まず、流水で流しながら、束子で擦るなどして黴を洗い流します。流水のない状態で、黴を擦ると、黴が空気中に広がりますので氣をつけてください。その後、除菌用アルコール(アルコール 100%)を吹き付けて、風通しの良い場所などで完全に乾燥させます。天然素材を好む方はアルコールではなく酢を使うようですので、ご自身のしっくりくる方法で良いかと思います。

     

    乾燥場所や保管場所について、竹籠は日陰です。直射日光の場合、竹が割れる場合があります。その他の素材は、概ね直射日光で大丈夫ですが、日光で変色することもありますので、基本的には日陰で。

     

     

    素材ごとの主な特性

     

    真竹:

    天高く伸びていく竹は、宙との交信具のようです。

     

    竹の牡と雌が見分けられる職人で、良い時期に上質な竹を採取した竹は、虫が付かず折れることも少なくなりますが、今の職人では、難しくなってきています。節で折れることは、竹の特性として付き合っていくことが必要です。 房総半島の「ふご」は、それを加味して縁が何重にも巻かれています。「ふご」の縁が節で折れた場合、折れた先を竹の間に入れ込んでください。それも楽しい作業です。何箇所も折れて修正が難しくなった場合は、修理いたします。問い合わせまでメールください。

    梅雨時期は、竹の身の部分に、黴が生えやすくなりますので、乾燥した場所、または、密封して保管ください。竹ですので、保管場所は日陰です。

     

    根曲竹:

    根曲竹は、しなやかで丈夫な竹です。かわいらしい小さな筍の天ぷらも美味しい山菜の一つです。

     

    余程のことがない限り、竹が折れることはありませんが、手提げ籠の場合、持ち手の扱いに氣をつけてください。

    梅雨時期は、竹の身の部分に、黴が生えやすくなりますので、乾燥した場所、または、密封して保管ください。根曲竹は直射日光にも強いようにみえますが、保管場所は日陰をお勧めします。

     

    蓬莱竹:

    苦竹とも言われ、筍は食しません。美しい南の島に生える竹は、不思議なものです。他の竹籠に黴が生える時期にも、この竹を使った籠だけは黴が生えにくいようです。多湿な島の竹だからでしょうか。それでも竹ですので、他の竹籠と同じようにお取り扱いください。

     

     

    久場(くば):

    美しい南の島々では、久場には神が宿ると言われ、高貴な植物とされています。

     

    現地では、その場でつくり、使い終わったら自然に戻す、即席民具です。葉っぱですので、使っていくと破れることは避けられません。できるだけ丁寧に使ってください。

    団扇類の場合は、端が破れたりした場合は、形を見ながら鋏で切って、少し小さくすることもできます。

    密封して保管する場合、小さな虫が付くこともありますので、防虫剤を入れることをお勧めします。

     

    月桃:

    香り高い上品な月桃は、癒しの氣を発しています。

     

    月桃は香りが薄れてきますが、日当たりの強い日に、しばらく直射日光にあてておき、手で叩くとある程度、香りが戻ります。

    月桃の「あんつく」の持ち手は、調整ができますが、使っていると緩んできますので、その都度、締め直すことをお勧めします。それでも緩む場合は、好みの長さで固定してご使用ください。簡易ですが、Light & Willでも固定することはできますのでご相談ください。これも籠の特性ですので、一番短い長さ、または、一番長い長さで使用することをお勧めします。

    梅雨時期は、黴が生えやすくなりますので、乾燥した場所、または、密封して保管ください。

     

    山葡萄:

    山葡萄の籠は、代を継いで持たれると言われます通り、月日を経て艶を増していきます。

     

    出来立ての山葡萄の乾燥した姿も、艶の出た姿も美しいものです。早く艶を出したい場合は、数時間、数日かかるかもしれませんが、亀の子束子で全体を擦り続けていると、艶が出てきます。 また、日々、手で全体を撫でてあげることも艶を出す一つです。

     

    比較的黴にも強く、丈夫な素材ですが、乾燥した樹皮ですので、強く押したり、曲げたりすると割れます。手提げ籠の場合、持ち手の扱いに氣をつけてください。

     

    胡桃:

    独特の香りがなんとも素晴らしいものです。細かな細工にも、大胆な細工にも向く、魅力的な素材です。

     

    比較的丈夫な素材で、取り扱いも特に難しくはありませんが、乾燥した樹皮ですので、強く押したり、曲げたりすると割れます。また、縁や角が、時折はじけると職人に聞いたことがありますので、籠の縁や角は、摩擦や強い衝撃を与えないように氣をつけてください。コンクリートの床などの硬い場所に置く時は、角から籠を置かずに、そっと置いてあげてください。

     

    手提げ籠の場合、持ち手の扱いに氣をつけてください。

    梅雨時期は、胡桃の内側に黴が生えやすくなりますので、乾燥した場所、または、密封して保管ください。

     

    通草:

    1年生の蔓が使われています。数ヶ月の丁寧な乾燥を経て、ようやく籠を編みます。

     

    丈夫で、直射日光にも強い素材です。

    手提げ籠の場合、持ち手の扱いに氣をつけてください。

    梅雨時期は、黴が生えやすくなりますので、乾燥した場所、または、密封して保管ください。

     

    大葛藤:

    力強い姿をした籠です。実際、編む時に相当な力を使います。わたしも勉強のためにいくつか編みましたが、手が痛くなりました。

     

    手提げ籠の場合、持ち手の扱いに氣をつけてください。

    素材と編み方の特性上、手提げ籠の付け根が折れる場合が多いため、丁寧に扱ってください。荷物を出し入れする際は、持ち手を広げすぎないでください。

    梅雨時期は、黴が生えやすくなりますので、乾燥した場所、または、密封して保管ください。特に、つくりたて1年目は、大半は黴が生えますが、素材の特性です。2年目以降は、梅雨時期の保管方法に氣をつければ、他の籠同様に問題はありません。

     

     

    籠の修理について

     

    自然素材の籠ですので、使っていると、縁や持ち手が壊れることがあります。もし壊れた場合は、修理をご相談ください。職人が働いている限りは、修理していただきます。素材によっては、Light & Willにて修理することもできます。

     

    修理の費用について、作業代の他に、送料(LW 〜 職人 〜 LW 〜 お客さま)がかかります。修理期間は、職人の都合を聞きながらお願いしますので、1ヶ月程みていただけますでしょうか。

     

    問い合わせは、下記の「Inquiry」よりお願いいたします。

January 11, 2021 | Care of basket