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籠の記憶

日本列島は約7割が森林である。

南北に長い島国は複雑な地形や地層をしており、

北と南での温度差が大きく、そして四季がある。

そこには約6000種類と言われる多種多様な植物が生息する。

 

緑豊かな日本では暮らしの知恵から生まれた道具が様々にある。

その中で植物を使い編み組みして作られる民具、それらを称してここでは「籠」と呼ぶが、

地域により素材や作り方が異なり、用途に応じた種類は実に豊富である。

竹類、山葡萄、胡桃、板屋楓、あけび蔓、葛藤等、日本は素材に恵まれている。

 

縄文時代の遺物から「籠」は出土されている。

その頃より、網代模様編み、透かし編み、六ツ目編み等の編み方がすでにあった痕跡がある。

「籠」は人の暮らしに欠かせない道具であった。

 

人工素材を使った道具が大量に普及しはじめた頃、多くの職人が廃業した。

今僅かに残る職人も高齢化により、日本の「籠」は年々減少の一途を辿っている。

時代は2000年を越え、20世紀に憧れていた近未来から、

思いは原始へと還っているように思う。真に豊かであっただろうあの時代に。

 

土=地球から生え出し、空=宇宙に向かう竹、

何かを受信し伝達するための交信器のように見える。

 

「籠」は、太古の景色を覚えているのだろうか。

それら手に取ると、遠い記憶に触れる瞬間がある。

 

2017年1月28日 | かご籠