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離島の刃物

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離島であるこの地では、戦後、物資が不足していた。

鉄も同様に、刃物には廃材となる鉄が再利用された。

「良い鉄を使う本土の刃物の方が上等。」と職人は口にする。

 

丹念に手で叩いた鉄は強くなり、その鉄によって作られた刃は切れ味鋭い。

手に馴染むように一本一本柄を削る。

出来上がりは野性的で、どれひとつ同じものはない。

本土の仕事は美しい、それとは異なるこの刃物もまた美しい。

 

「ここでは昔、一人一本、小刀を持っていた。」

 

フランス中南部の風習をふと思い出す。

オーブラック地方では、生まれきた子に一本の小刀を贈る。

贈られた小刀を肌身離さず持ち、生涯を共にすると言う。

この地方では、小刀は人生の相棒である。

 

手作り包丁は、持ち主の意思で一本を選ぶわけである。

選んだその一本と長く共にしてていただきたい。

 

2016年11月20日 | 日記